仕事で熊本へ出張のついでに上りのSL人吉号を撮影しようと計画。あらかじめネットで撮影ポイントをあたってみると、海路駅付近によさそうなポイントがあり、そこを目標とした。途中に球磨川第一橋梁というのがあり、これはNHKで紹介されていた鉄橋である。上り・下りのどちら側からの撮影向きなのかが今ひとつ不明であるため、ともかく現場で判断することとした。
レンタカーのナビに従い沿線を南下していくと、対岸の鎌瀬駅を過ぎたあたりでこの橋梁が現れた。上り列車を撮影するのに都合のよい構造であるのを確認し、対岸へ車を進めることにした。
対岸の道路は道幅が狭く、すれ違いさえ厄介な状態であるが、橋梁手前100m付近(球磨川右岸上流側)の道路は道幅が広く、数台の駐車スペースがあった。

もう少し付近の状況を調べようとiPhoneで地図や時刻表を検索してみると、さすが○フトバンク! 圏外であった。
準備不足のため、来るものを撮るといったスタイルとした分、周囲の散策はあまりできなくなってしまった。

2011.05.22 撮影


球磨川第一橋梁パノラマ(円筒投影法)

クリックで拡大
曲弦プラットトラス ×2 + プレートガーダー ×3
トラスの部材の接合部のピン(ヒンジ)が残る構造が時代の古さを物語る。


鎌瀬駅側から望遠

球磨川の流れは線路の進行方向と直交せず斜めであるため、橋脚も時計回りに30°の角度で設置されている。
そのためトラスの桁端は左右非対称の構造となっている。
橋梁の奥にはトンネルが見えている。

 


橋脚 切石積み

橋脚の水跡は洪水時に付いたものではなく、下流の荒瀬ダムによりせき止められると、この位置まで水に浸ることを意味する。


橋台 切石積み+レンガ積み

この仕様は明治期によく見られたもので、筆者は御殿場線のそれを連想した。

調べてみるとこの橋梁は明治41年竣工の一世紀を越えた古参で、曲弦プラットトラスも当時のまま今なお現役である。


鎌瀬駅寄プレートガーターの塗装記録

橋りょう名 球磨川第一橋りょう
位  置  鎌瀬〜瀬戸石 間 17K018M99
支  間  25M37
塗装年月  2008年3月
塗装回数  全面3回塗(一部補修塗)
塗装種別  下塗 シアナミド鉛さび止めペイント
及塗料名  中・上塗 長油性フタル酸樹脂塗料
塗装会社  株式会社 トウベ
施工者   株式会社 石橋塗装店

帰ってから判明したことなのだが、撮影時は下流のダムのゲートが解放されており、貯水されていない状態であったようだ。そのため普段は見ることのできない橋脚の下部まで収めることができたのである。この機会を活かし、もう少し記録すべきことはなかったかと少々後悔の念が残る。

先述の通り、トラス部材の接合箇所のピン(巨大なボルト)は是非とも記録すべきであろう。ディテールを撮影しておくことを強く勧める。

地図で見ると鎌瀬集落は上鎌瀬、下鎌瀬と西鎌瀬に大別されており、対岸に見えるのは西鎌瀬集落である。上鎌瀬はここ下鎌瀬を50mほど登った山の上にあり、このあたりからも橋梁を狙えるかもしれない。

鉄道が出来る前の様子を想像してみるに、球磨川沿岸は崖地が多いため、山腹や尾根に古道があるのではないかと推測している。
上鎌瀬から東へ峠を越えて行くと枳之俣(げすのまた)という集落の存在が地図から見て取れ、山中にも交流路が開かれていたことが伺える。土地勘があればまた違った風景として捉えることが出来るだろう。


鎌瀬集落の高台から

トラスの載る橋脚は幅がひと際広いことが写真からも見て取れる。
通常は下流の荒瀬ダムにせき止められた水で橋脚の水跡まで満たしているため、満水時にはここからのアングルもよさそうである。
この位置にある車道はほどなく行き止りである。幅員も狭いため麓に車を置き、徒歩で登ることを推奨する。 

 


キハ40 (クリックで拡大)

キハ185 九州横断特急

山あいの風景に深紅の列車が映える


SL人吉(上り)

SL人吉(上り)
この日は残念ながら煙が川上側(右から左へ)と流れてしまった。


坂本駅にて

坂本駅で充分な停車時間があるダイヤにおいては、車で追いかけていけば何とか間に合うため、もう一度撮影することが可能だ。

 

鉄道を被写体として捉えると、この集落にある火の見櫓や電線が少々目障りとなるのだが、この山間の集落と鉄道をまるごと被写体と捉えることができれば、そこにある生活そのものが愛おしく思えるのは筆者だけだろうか。

最後に鎌瀬踏切付近の様子を広角で収めた写真を紹介する。
広角から望遠まで様々なアングルで楽しめることがわかるであろう。

この道路は交通量が少ないとはいえ、地元の方に迷惑がかからないよう、駐車場所等のマナーは十分に配慮されたい。

 

参考文献 土木遺産in九州-第一球磨川橋梁(外部リンク)

HOME  >  鉄道  >  このページ

Copyright (C) 2002-2016 KEIZUKOBO All Rights Reserved.