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東京電力 田代川第一発電所 

早川第三発電所

早川右岸の田代川第一発電所

田代川第一発電所は早川第三発電所の対岸である早川右岸にあります。 地形図を判読すると水源は内河内川上流の田代川第二発電所の使用後の用水と、黒桂(つづら)河内川からも山中を貫いて導水路に合流しています。

不思議なのは明治期の地形図にも内河内川に「田代川」の名称は見られないことです。
その理由は田代川第二発電所にあり、取水口が山脈を越えた大井川にあり、この付近の河川名が昔は田代川と呼ばれていたためです。つまり発電所の所在地で命名するのではなく、使用する河川に由来する点が面白いですね。その地への敬意が感じられます。

この発電所からの唯一の送電線である田代川第一線の電圧が11kVと低いのですが、侮ることなかれ、出力は17,400kWもあります。
運転開始は昭和2年9月です。

田代幹線は名称と建設年が昭和2年5月であることから当初はこの発電所が基点だった可能性があります。

地下ケーブルの回線札

上流側から

地下ケーブルの回線札

垂直に近い急斜面に敷設された水圧鉄管

2023年現在、話題となっているリニア中央新幹線建設による静岡県からの湧水は一滴も山梨県側に入れてはならない云々で、田代川発電所の取水量を調整(減量)することで整合を取るという話はまさにこの発電所のことになります。

早川第三発電所

早川第三発電所配置図

田代幹線2号

早川に架かる管理用吊り橋

田代幹線1号

立入禁止

対岸へ渡る唯一の手段である吊り橋は関係者以外立入禁止の表示が。


送電鉄塔 田代川第一線 No.1 No.2

送電鉄塔 田代川第一線 No.1

送電鉄塔 田代川第一線 No.1

送電鉄塔田代川第一線は田代川第一発電所と早川対岸の早川第三変電所とを結ぶ鉄塔2基だけの送電線です。
特徴は1回線のみの送電線で3本の導体が水平に架けられ、2連の耐張碍子で構成されている点で、碍子の数から判断するとおそらく11kVで運用されています。発電所の出力が17,400kWもありますが、電圧が低いのは距離が短いためでしょうか。
現場のプレートには番号は表記されていませんが、当サイトでは便宜上起点側の鉄塔をNo.1、終点側をNo.2と呼称しました。

送電鉄塔 田代川第一線 No.2

送電鉄塔 田代川第一線 No.2

田代川第一線

田代川第一線

プラスチック製のプレートには番号の表記はありません。


早川第一発電所取水ダム

早川第一発電所取水ダム

取水ダム

この取水ダムは早川第三発電所の直下に位置しますが、東電のダム呼称の習わしとして使用する発電所の名称を冠するため、早川第一発電所取水ダムであると筆者は考えています。

田代川第一発電所と早川第三発電所で使用された用水は早川に戻されることはなく、地下水路を通って早川第一発電所へ向かいます。この取水ダムからは早川の水が補充される形になります。

早川第一発電所取水ダム

取水ダム全景

洪水吐ゲート

洪水吐ゲート

洪水吐ゲートはゴム製袋に空気を充填させて立ち上げる方式が取られていました。

関連:

早川第三発電所
田代幹線 No.335(昭和2年5月建設)