岩殿山山頂からのパノラマです。眼下には箱庭のような大月の街並が見渡せます。
岩殿山の鏡岩と呼ばれる垂直に近い一枚岩が形成する崖の上端からのパノラマであるため、俯角45度付近まで街が迫り、アオリレンズで撮影しても全てを写真に収めることができませんでした。
大月の街の魅力は、菊花山と岩殿山とに挟まれた狭隘な土地に、断崖を刻み込む桂川と東西を美しい曲線で結ぶ中央本線、そしてその沿線に発展した街並にあるといえます。街は南北には0.5kmの幅しかありませんが、そこに東西の主要な交通が集中しているため、人工物と自然がなすコントラストは夜景のシーンではさらに際立って捉えることができると思います。
また、猿橋駅との間にある駒橋発電所とその周辺施設は、この風景を語る上で譲れない要素となっています。詳細は各ページに記述したので割愛しますが、複雑な地形を利用した先人達の苦労と歴史にも魅了されてしまいます。

桜の頃
岩殿山丸山公園は桜の名所と知り、パノラマのワン・シーンに組込みたいと、その季節が訪れるのを待っていたのですが、2010年の春は晴天が少なく思うような状態とはなりませんでした。市街地の桜は散りはじめた一方で、山頂はまだ３分咲きといった具合でした。ただ、麓にある丸山城跡は満開となっていました。
高低差が300mある大月市街地と岩殿山。桜の花のピークは１週間ほどの時差があります。市街地の桜もいくらか残っています。パノラマ画像から探してみて下さい。
快晴のシーンとは２ヶ月足らずの間隔で撮影したため変化は微妙ですが、桂川を渡る工事中の橋梁がこの間に繋がったようです。山の緑も僅かに色づいてきています。

撮影日　快晴　：2010.02.20
　　　　桜の頃：2010.04.13
　　　　夜景　：2010.02.20

操作方法

画面のスクロールはドラッグすることで上下左右に移動します。左右方向は数秒間、ドラッグの移動の速さが影響し、やがて元のゆっくりしたスピードに戻ります。スクロールを停止するにはダブルクリックするか、ドラッグを静かに停止するこで出来ます。

中央本線
猿橋-大月間の開業は1902年、１世紀を越えました。複雑な地形とクロソイドやアールカーブの幾何図形からなる鉄路の組み合せを俯瞰したとき、そこに風景の美しさを感じてしまうのは筆者だけでしょうか。駅以外は灯りがなく、どこに線路があるのかわからなくなる夜間、大月市街の西に位置するムスビ山の麓に一点の赤い光が灯っているのを見付けました。「あんな高いところに信号機？　まさか鉄道のものではないだろう」と気に留めながら撮影を続けていると、笹子方面から一条の光の列が近づいてきました。夜汽車です。夜汽車はやがて赤い光の脇をすり抜け、軌跡を美しい曲線として描きながら大月駅へ滑り込んでいきました。夜景は人の活動範囲と自然とを明確にしてくれます。街灯りのあるところに鉄道が通っているものと思い込んでいましたが、笹子方面への高度を稼ぐためなのでしょう、漆黒の山裾に鉄道が敷かれている様子がよくわかりました。

更新履歴

2010.05.21 UP
2010.06.06　解説文を画像上に表示。当該箇所をクリックでそのシーンへ照準が移動。
2010.12.01　駒橋御前山リンク追加
2010.12.20　菊花山、今倉山他リンク追加